同意なく障害者DNAを警察が採取 11万円賠償を兵庫県に命令 神戸地裁

  

 兵庫県警の警察官が本人の同意がないのにDNA型鑑定のために口から組織片を採取したのは違法だとして、重度の知的障害がある同県西宮市の男性(41)が県に165万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁(山口浩司裁判長)は13日、違法性を認めて県に11万円の支払いを命じた。

訴状などによると、男性は2015年10月、ガイドヘルパーと一緒に西宮市内へ外出した際、公園内でポリ袋を燃やすなどし、住民からの通報で駆けつけた警察官に職務質問を受けた。その後、西宮署に連れて行かれ、綿棒で口腔(こうくう)内の組織片を採取された。男性は自閉症による感覚過敏があり、強引な採取にショックを受けて情緒不安定になったという。

 原告側は、本人や近くにいた父親から同意を得ない違法な行為で人権を侵害されたと主張。県側の「本人から同意を得た」との主張には、「原告に意思疎通能力はない」などと反論していた。